京都地方裁判所 昭和40年(行ウ)3号 判決 1965年7月03日
原告
佐伯よし
代理人
三好喜敬
外一名
被告
京都府
代表者京都府知事
蜷川虎三
代理人
堀家嘉郎
外二名
主文
本件訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
訴状によれば原告の請求の趣旨は
「被告が昭和二六年七月四日付をもつてした医療法人京都産院設立の認可は無効なることを確認する。」
との判決を求めるにある。
理由
原告主張の医療法人京都産院設立の認可は京都府知事のした処分である(医療法第四四条第一項、第四五条。原告も訴状訂正申立書においてこれを認めている)。
行政処分無効確認の訴は処分をした行政庁を被告として提起しなければならない(行政事件訴訟法第三八条第一項第一一条第一項)。
したがつて、京都府を被告とする本訴は、被告とすべき者を誤つた訴であり、訴の適否に関するその余の判断をなすまでもなく、却下を免れない。
原告は、被告に訴状送達の後、被告を京都府知事蜷川虎三に変更することの許可の申立をした。
しかし、行政処分無効確認の訴において、被告とすべき者を誤つたとき、被告を変更することはできない。けだし、行政事件訴訟法第三九条(取消訴訟に関する規定の準用)が第一四条(出訴期間)の規定とともに第一五条(被告を誤つた訴えの救済)の規定を準用しないのは、被告を誤つたことに基づく出訴期間不遵守の救済を目的とする第一五条の準用を不必要と認め、被告の変更を許さない趣旨である、と解するのを相当とするからである。
よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。(小西勝 石田恒良 福島裕)